ポンポンポンのPVでの催眠技法

では、パフュームと同系列のきゃりーぱみゅぱみゅでは、PVにどのような催眠効果が仕込まれているだろうか?

催眠誘導の技法についての知識がないならば、前の記事から読まれることをお勧め。

  1. とにかく目が多い
  2. 補色関係にある二色を点滅させるようにぶつける手法
  3. ヒプノボードの模様の多用と回転の多様
  4. 平常の脈拍よりも速いテンポの曲

そして、骨、剥き出しの脳、肥満でありながらピンクの顔のない女等、

もし、これら要素が視聴者の意識水準を低下させ、批判のできない無防備の状態にした上で、ドキツイ骸骨や脳味噌の画像を提示されたなら驚くかもしれないが、ここでは、どぎつさへの効果を高める前提の安らかさが準備されていない。
また、ヒプノボードの模様にしても、カットの切り替えが早すぎることと、画面の全てではなく一部でしかないために、視聴者の視覚を専有することができない。
幾多たくさんの眼球が出てきたところで、私たちには焼き魚の目とニラメッコする習慣はないのだから、この刺激が私たちの心理に左右するとはあまり感じられない。
主役のきゃりーぱみゅぱみゅにしたところで、瞬きの回数がかなり多く、それにカットが切り替わると、私たちは、その隙ににらめっこを中断していくらでもまばたきを入れる余裕ができる。この点では、PVの方に、にらめっこのアドヴァンテージが得られない。
そして、ほとんど自由に私たちはこの画面上に視線を動かせるので、視覚情報から催眠状態に導かれる可能性がほとんどない。

ありうるとしたら、画面上の頻繁な色彩交替から来る、嘔吐感くらいだろうか?
これに関しては1997年に、『ポケモン』が子供たちの視神経に異常を与える赤と緑の補色同士の急速な点滅画面の表現をやってしまったせいで、以降はソフトな表現のみしか許されなくなってきている。


まとめると、この映像には催眠効果がほとんどない。
音楽的にも、リズムは非常に単調であるが、相当に明確なメロディーがあり、強い暗示を与えるような詞の一行もなく、耳に残るのはポンポンポンという赤ん坊の喃語のようなものだけ。これを私は楽しむことはできるが、催眠状態に導かれることはまずない。

きゃりーぱみゅぱみゅ本人の、ヤラせ臭さをかき消すような強い生命感が希薄なことだけがあとあとまで記憶にのこるPVだ。