『ドリーム・ファイター』  パフューム 谷村美月

ついさっきまで、この曲あんまり好きじゃなかった。
歌詞が、前向きすぎるというか、ポジティブすぎるというか、

なんて言うんすかね、顔と声、全然あっていないですよ、これ。

口パクとか、そういうレベル超えています。

機械処理されすぎで、人間の呼吸法とか発声法になじまないものになってしまい、
人間の歌っている映像と全然しっくりきません。そして、これがある意味、パフュームなのだ、と。

そう感じられるようになると、結構好きになってくるんですよね。




夢、ということについて、一言書いておきたかったのですが、

しゃべり場』という番組が10年昔にありまして、
そこで、
「俺は夢なんかいらない。ちゃんと仕事して家族と身近な人を幸せに出来たらそれでええんや」という自己主張の回がありました。
その時の大人出演者は、多分ローリー寺西だったと思う。

「夢なんかいらない」ということが自己主張になるくらいに、「夢」とは、現代の子供たちを縛り付けるものであるのだなあと思わされたのですが、
その対話の輪の中に、「私の夢は歯科技師で入れ歯の歯型を作ること」といった女の子がいました。

番組の途中で、その女の子は周囲の人たちから突っ込まれ、自分の夢ってなんだっけ?みたいになってしまうんですが、
私から言わせてもらえば、もし私がローリー寺西の代わりに出演できてたなら、
「それって、夢というよりかは、職業選択やろ?」の一言です。

「夢」って何よ?
叶わなくて当たり前だから、「夢」なんとちゃうの?
絶対かなわせないといけないようなもんだったら、「目標」とか「目的」とか言うべきじゃないの?

入れ歯の歯型作る仕事に着く競争倍率って何倍?そんなに難しいの?難しくないんだったら、努力も涙も犠牲もいらないんだったら、それは、「夢」というべきではなくて、「目標」もしくは「職業選択」というべきではないのかな?

別に、入れ歯作ることで楽しんで社会貢献できれば、それはそれでいいことだし、実際にそうやって生きている人たちもいるんで、悪いわけじゃないんだけど、

それって、職業選択の一つの可能性に過ぎないんだから、もっと、ほかの可能性も調べて、どれがいいかじっくり考えたほうがいいんじゃない?


私だったらそう言います。


そして、この女の子がこんなふうに言うハメに陥ったこと、もしくは、この回の提案者が「夢なんかいらない」と言わざるを得なかったことの背景にある、

夢と職業選択を履き違えさせて、人をただばたらきさせようとする汚い連中のことに憤るわけですわ。

そして、
子供に、「夢はなんですか?」といちいち聞いて回る、頭に水しか詰まっていない連中についても私は憤るわけです。

夢なんかどうでもいいんですよ。子供が、大人の職業について、数通りしか知らない段階で、「坊やの夢って何?」って聞いても、漫画家になりたいとかサッカー選手になりたい、みたいな答えしか返ってこないわけですわ。
親がよほど金持ちだったら、親と同じ職業って言いますわ。それで、そういう答え方をすると、「しっかりしたお子さんですね」と馬鹿な大人から褒められたりするわけです。

こういうの、ほとほとウンザリですわ。

ていうかよ、子供に「夢は何?」とか恥ずかしいこと聞く前に、まずお前の事語れや、お前の夢は小学5年生の時にはなんだったのよ?そして、それをどういう過程で修正し、断念し、諦めて、妥協して行ったのよ?

それ、子供に教えろや。アカの他人の子供に「夢って何?」とか聞く前に、まず、それ語れや!と思うわけ。


異論は認めない。






まじで、夢なんかどうでもいいんですよ。というか、大人がどんな仕事しているか知らない段階での子供の夢なんかどうでもいいです。

それよりも、ちゃんと職業選択についての必要な知識を与えろよ、と。
この社会にはびこる下請けとか孫受けとか天下りについて教えろよ、と。
それらのしくみに「夢がないから子供に教えられない」と言うんだったら、まず命懸けで社会を変えてみせろよ、と。




しかし、ここまで、熱く書いておきながら、

世の中のことほとんど知らない子供の夢、
小学校3年生くらいの「夢」をそのまま生きて大成功してしまう人たちっているんですわ。

パフュームもそうだし、谷村美月もそう。

パフュームにはビックリさせられたんですが、ほぼ同様に、谷村美月にもびっくりさせられました。



(なぜか隣に前田敦子
なんで、この女の子、こんなこと出来てしまうの?ってのが、最初のうちは不思議で仕方がなかった。


小学生でデビューしてから、一体この人なん本ドラマと映画に出演してんのよ?と。
谷村美月

そんで、演じている役についてみていくと、一体どういう役演じてんのよ?と。

カナリア』援交やってる小学生
『神様のパズル』引きこもりの天才少女
ユビサキから世界を』飛び降り自殺志願者
リアル鬼ごっこ』精神薄弱者
『檸檬のころ』将来の夢がロッキンオン就職の友達のいない女子高生
魍魎の匣』ダルマにされてしまう美少女
おにいちゃんのハナビ白血病でスキンヘッド

エトセトラエトセトラ


えっ、あなた、そんなことまでやるんですか?みたいな役ばかりで、こういう役ばかり演じていると、役の性格が人格の素の部分に影響与えてしまわないか、とか、思ってしまうんですけれど、
事実、こういうことやって潰れた子役上がりの役者なんかいくらでもいますし、
ジョディ・フォスターも、タクシードライバーで13歳の娼婦の役やってから、もう少しで人生クラッシュするところでしたし、

なんで、谷村美月って、こういう危ない橋を渡り続けられるのだろう?人格の素の部分には何の影響もないのだろうか?と、疑問を私は持ちまして、

それから、毎日のように彼女の出演した映画やドラマのDVDを見ていったわけです。

変な役演じているから、変な役に身も心もなりきっているというかんじてもなくて、テクニックと割り切って演じているように見えまして、
それで、彼女の演技を仔細に観察してみたんですわ。

ちょっと気になるところは、なん度も繰り返してみて、
自分が何かを感じた場面では、なぜそう感じたのかが分かるまで繰り返してみたんですよ。


そしたら、・・・・・・・あーあ、って感じですわ。映画ってこういう風につくるんだってことが分かってしまいまして。
映画用の演技ってどういうものなのかもわかってしまいまして、
それゆえ、谷村美月って私の中ではエラいひとなんですが、

映画の仕組みがあらかた分かってしまうと、谷村美月が何考えてこんな動作するんだろう?ということがほぼ見えてしまうので、
はっきり言うと、私、彼女の演技しているところを見ると、彼女の心が読める、ような気になっているんですわね。ほとんど他人とは思えないレベルです。




まあ、それはいいとして、谷村美月とパフュームに共通する点というと、

谷村美月の場合小学生の時から、劇団で子役用の演技指導を受けていた。
パフュームの場合も小学生の時から、芸能事務所の養成所で指導を受けていた。

どちらもキャリアを始めたのが小学生の時。

「女優になりたい、アイドルになりたい、モデルになりたい」そういうことをブサイクな小学生が言ったら、
「アホか」の一言でお終いにしてしまいたいところなんですけれども、

現在では、そういう「夢」を持ってしまった子供を大人が全力でバックアップする体制ができているように思われます。

これは、育成が成果を上げているJリーグのジュニアコースに近い。

サッカーの場合だと、たとえプロになれなかったとしても、体力はつくし、根性も付くし、友達もできるし、趣味としていっしょうサッカー続けていけるし、で、
失敗した側も採算取れると思うんですが、

女優やアイドル志願だと、「それ、どうよ?」
学歴棒に振ってホワイトカラーの道をほぼ絶たれ、大してつぶしのきかない技能を身に付け、
しかも成功できずに一般人になるならともかく、業界の底辺に就職したりした場合には、
一生悪条件と劣等感に苛まれて生きることになりはしないか?と思うんですが、

まあ、女の子の場合だと、玉の輿という一発逆転がありますんで、容貌に恵まれている女の子だったら、余裕持ってこういう世界に飛び込んでいけるのかもしれませんが。



ただ、思うんですけど、谷村美月にしろパフュームにしろ、なんでここまで頑張らないといけないんだろう?
この人たちの空き時間って、ほとんど芸の稽古じゃないですか?
谷村美月のインタビューなんか「もういっぱいいっぱいまで頑張っているんだから、これ以上頑張れとファンの方から言われても辛い。それよりも、適当に力抜いてくださいと言われると嬉しい」とか言ってます。


これって芸能人に限らず、世の中に普遍的な傾向なのかもしれません。
どうして、この世の中は、20年前よりも効率化が進んで生産性が上がっているはずなのに、両道条件は悪化していくのだろう?本来、楽に豊かになれるように科学と技術が進んできたはずなのに、
先進国に限定してしまえば、特殊な富裕層を除いて、みんな揃ってしんどくなって来てないか?と思うんですが、

なんで、パフュームにしろ中田ヤスタカにしろ、一応、「夢」と言えるレベルを実現したのだから、もうちょっと適当に力抜きゃいいのに、特に中田ヤスタカの音楽制作なんか、ほとんど金かかんないんだから、自由気ままにできて、好き勝手できるんじゃないかと思うんですが、
「夢」を達成しても、
『ドリーム・ファイター』なんですわね。
まだ戦い続けるのか?と思わされるんです。


つい比べちゃいたくなりますけど、Puffyって、全盛期は寝る間も惜しんで働いていたそうなんですけど、そんでも、一発当てた後は、「海外でリゾート」みたいな歌うたっていましたし、
その後路線変更して、趣味と実益を兼ねるみたいな路線でやって行ったら、そのマイペースぶりが評価されて海外からお声がかかった、って感じなんですけど、


今は、違うんですよね。
「夢」叶えても、その後は「ドリームファイター」なんですわ。








これが、ももクロだったんだ。
ブサ女優とよく言われる谷村美月にメンバー全員瞬殺されるレベルだから、アイドルとしては、ももクロはつらいやろ、と。
ちなみに谷村美月は、モー娘のメンバー募集に書類選考過程で落ちている。

でも、メイク云々を別として、谷村美月はカメラ目線上手いよな。どう写ればいいかについては、ももクロの連中より10倍分かってるわ、さすがです。



「パフュームもいいけど、ももクロもね♥」とか言われると、
「ふざけんな、人をヘンタイあつかいすんな」と怒ったもんですけど、
最近、段々、このノリに慣れてきまして、
ももクロっても、パフューム売れる前って、似たようなもんでしたわな。
将来何あるかわかんないですしね、誰がどんな大バケするかなんてわかんないですし。

ももクロって、アングラなアイドル風なんですけど、無意味に曲が良く出来てますわね。まあ、無意味なんですけど。