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『スペンディングオールマイタイム』

ちょこっと映画の話をするのですが、

今のハリウッド映画は、脚本構成のセオリーがガチガチで、
1時間46分の映画ならクライマックスが1時間20分に来るんですが、

その誰が見てもクライマックスだとわかる派手なシーンの前に、
大抵47分くらいに、物語を俯瞰するような象徴的なシーンが入ります。


Perfumeの今回のライブで言うと、
『スペンディングオールマイタイム』がそうでしょうか。

わたくし、このブログにおいて『スペンディングオールマイタイム』をつまらん曲と書いたことがあり、いまだそのことを訂正する気もないのですが、

今回のライブでは、光る曲でした。


今回のライブ、鉄板の『ドリームファイター』が曲目から消えており、『レーザービーム』も消えて、
ガンガン行きまっしょい的な曲がほとんどなく、
明るいのか暗いのか判別しがたい両義的な曲主体だったように思います。

大体、レベル3って停滞感を表したような曲ばかりで、
『マジックオブラブ』って逆回転だし、ドラえもんの歌は後ろ向きに歩いてタイムスリップだし、
『ふりかえるといるよ』は金縛りだし、『1mm』って全然進めないって意味だろうし、『clockwork』も回転してるだけだし、



じゃあ、しゃにむに前進すればいいのかというと、
卵の殻をぶち破るような体験って、人の一生3回とか4回くらいしかないはずで、
毎度毎度そういう曲ライブでやられても、だんだん飽きてくるはずなんですよね。


卵の中の鳥が孵化するには、ちゃんと卵を親鳥が温めないといけない訳で、

なかた氏が レベル3は 孵化する子鳥ではなく卵を温める親鳥の話しと考えていたのかどうかは分かりません。


でも、あ〜ちゃんは、
そう思っているようなんですね。



シンガポール公演のDVDを見直しますと、
『スペンディングオールマイタイム』ってあ〜ちゃんの持ち歌に見えるんですよ。
そんで、あ〜ちゃんだけが笑って踊ってる。

これは、前回のドーム公演のDVDの『ねえ』についてもいえることで、
本当は暗いはずの曲に明るい要素を見出して、曲の基本トーンを変えてしまいたいというあ〜ちゃんの考えがほの見えます。

でも『ねえ』とくらべると『スペンディングオールマイタイム』って本当に閉塞感に満ちた曲ですから、
謎めいた雰囲気はするけど、明るい曲にはならなかったんですね、シンガポールの時は。


「不実な恋愛対象に対し、彼の不実をすべて見て見ない振りして、いつまでも愛しているといい続けたら、彼はいつか本当に自分のことだけを思ってくれるかもしれない」
そんな風に思っている女の子の歌で、そんな風に思っている女の子をあ〜ちゃんがステージで演じている、わたしにはそんな風に見えました。

これって、三歩下がって醒めた目で見ると、自己欺瞞でしかない訳です。

そして、シンガポール公演では、その暗いトーンを打ち消すように、次の曲はのっちメインの『ラブザワールド』なんですが、




今回のライブでは、『スペンディングオールマイタイム』から閉塞感を除去するごとく、舞台演出で観客を「おっ」とうならせる。
そして、その次の曲が、あ〜ちゃんメインの『コンピューターシティ』
だれそれメインの曲を等分に割り振って…という方法ではなく、
一気に勝負に出ます。

『コンピューターシティ』って、はっきり言ってセトリに入るか外れるかの当落線上の曲ではないですか、
JPNツアーではハブられてましたし。


もし、『スペンディングオールマイタイム』が
「不実な恋愛対象に対し、彼の不実をすべて見て見ない振りして、いつまでも愛しているといい続けたら、彼はいつか本当に自分のことだけを思ってくれるかもしれない」
という内容の曲であるとして、

その次に
「絶対故障だ ていうかありえない 僕が君の言葉で 悩むはずはない」
という詞をぶつけてくるわけです、あ〜ちゃんは。

この人は、本気で、『スペンディングオールマイタイム』にポジティブな意味を見出そうとしているのだな、そしてそれを今回のライブのテーマにしようとしているのだな、
つまり、停滞感とは、たまごから孵化する小鳥の目線ではなく、たまごを温める親鳥の目線のことなのだな、と、そういう風に思いました次第。

なんで、ライブの曲目リストをあ〜ちゃんが秘密にしたがるのか分かったような気がしました。