はっぴぃえんど
一年前に大瀧詠一が死んでしまいました。
ほとんど隠遁状態だったので、生きている間には、あまり注目を浴びることのなかった人なのですが、
死んでから、まとめて聞いてみますと、
なるほどこういう人だったのかなぁ、と思うところがあります。
ロックって、アメリカ発祥の音楽であり、それをどう考えるかということですが、
これを聴くと、大瀧詠一は、ビートルズ以前のアメリカのロックとポップスに関しては、歴史的にスタンダードとして確立されたものであり、日本の民族性がどうの日本の音楽界の事情がどうのなどとグダグダ言わずに真摯に学ぶべきである。おそらくそんな風に思っていたのでしょう。
アメリカの音楽がイギリスにわたり、ビートルズのプロデューサーがクラッシック畑の人だったことから、独自の進化を遂げるのですが、
おそらく大瀧詠一は、これを絶対的なものとはみなさず、
自分たちも同様に、日本の中でロックを進化させるべきと考えたようです。
その結果が、一連の音頭作品らしいのですが、
どの年代までのロック・ポップスを絶対的なものとみなすか、については、ハッピーエンドのメンバーだった細野晴臣とは少しばかりずれがあったようです。
細野晴臣の場合は、もう少し後のロックまでをスタンダードとみなすと同時に、かなり懐古的な趣味もあったのかもしれません。
1970年代に一番活躍した日本人ミュージシャンが細野晴臣だとすると、
大瀧詠一は、何やってんだかよく分からない迷走家のようでもありましたが、
彼が絶対的なスタンダードだと信じていたらしい音楽の型についての見識が確かなものだったのは、
彼のヒット曲が示すところです。
それと比べると、細野晴臣はいい曲多いんですが、彼の作曲による有名な曲ってないんですよね。
おそらく大瀧詠一が信じたように、アメリカの音楽、ひいてはロックポップス史で絶対的なのはビートルズの手前まで、というのは正しいのかもしれません。
松たか子 - 幸せな結末 (BGV/MIX : 大瀧詠一) - YouTube
ドラマ『ロング・ヴァケーション』のプロデューサーに口説き落されて12年ぶりに発表した曲。
作詞は『ラブ・ジェネレーション』のプロデューサーと監督それに大瀧詠一の三人。
「幸せな結末きっと見つける」
おそらく、大瀧詠一ではなく、他の二人の内のどちらかが書いた一節だと思いますが、
はっぴぃえんどの精神は私たちの世代が引き継いでいく、という意味、ちょっと感動的。
しかし、松たか子って持っている人ですね。
これと同じころの曲で、ポンキッキに出ていた市川実和子に書いてプロデュースもした曲。ちなみにギターは、はっぴぃえんどの鈴木茂。
市川実和子をアイドルと言っていいのかわかりませんが、パフュームやベビメタに限らず、アイドルに良曲をあてがうのは、実のところ大昔からあることで、
大瀧詠一って松田聖子への作曲印税で生活してた様なところあります。
でも、パフュームやベビメタとはいったい何が違うんだろう?何かが違うのはわかるのですが、何が違うんだろう?と悩むところです。
ちなみに小泉今日子主演の映画のために書いた曲。
作詞は、監督も務めた和田誠。
50年代のアメリカ映画の再現を狙った作品に、大瀧詠一のメロディがよく馴染む。
おそらく、後ろでごちゃごちゃやってる怪盗のダンサーたちに気が行ってしまい、歌詞忘れてしまう小泉今日子。
でも、度胸いいというか、見ててほほえましくかわいらしい。