カタカナ英語 日本訛りの英語  マックスヴァリュー パフューム

週に何度かマックスヴァリューで買い物するんですが、行くたびになんども、マックスヴァリューの歌をきいているんですけれど、
歌詞覚えていないんですわ。

そんでネットで調べたら、どうもこんな歌詞らしい。


maxvale 歌
♪ほんのり幸せ ちょっぴり幸せ 始まる予感
♪おはよう歯磨き 洗いたてのタオル
♪ふっふっふっな生活 マックスバリュ

どうもこんな歌詞らしいというのは、
この人はネット上で質問して、「こんなふうに聞こえるですけど、ホントのところどうなんでしょう?」ということなんですが、

「イオンのHPに問い合わせてみりゃわかるよ」みたいな答え以外ばかりで、
ほとんど、誰も、よく聞き取れていないんですよね。

私だけじゃなくて、マックスヴァリューの歌って、日本語のはずなんですけど誰も聞き取れないんですよ。

その程度にゆるくて、買い物客に聴くことに集中させるよりかは買い物に集中させたいってことなんだと思いますが、

「♪ふっふっふっな生活」 って、さすがにこの箇所は違うんではなかろうか?と。


なんで何百回も聞いているはずなのにここまで歌詞が聞き取れないんだろう?と考えるに、
「♪マックスヴァリュー」と英語の箇所が唐突に歌の中にあるからだと思われます。



カタカナ英語 日本訛りの英語

中学校一年生の英語の時間ですが

this is a pen.を ズィス イズ ア ペンとカタカナで表記すると、
もとの英語が4音節なのに、カタカナの方は6から7音節になってしまいます。

日本人的には、どっちもにたようなもんだろうということですけど、
英語の人たちが耳からズィス イズ ア ペンの発音を聞くと、
「こいつら何言っとんじゃ?」と戸惑うはずです。

だって、英語原文の方の4音節って音符にして4つなんですけど
それをカタカナ英語にすると6か7音節なわけでして、
ビール4っつ頼んだのに6っつか7つ出てきたら、
「おいおい、これ、別のテーブルの注文とちゃうの?」と聞き返したくなるのと同じはずです。


日本人の英語の発音がおかしいってのは、二通りありまして
ひとつは発音記号どうりに個々の音を発音できずローマ字風の発音やっちゃうこと。
もう一つは、英語の音節の区切り無視して、自分になじみのよいローマ字的な音節解釈してしまうこと。

ホヘン アイ ワズ ア リトルガール アイ アスク マイ マザー ホワット ウィル ビー

日本の中学校では、中途半端に英語的な発音にすると教師から叩かれますが、純粋なカタカナ発音をすると、まあしょうがないと許される傾向があります。

そんで、上のようなこてこてのカタカナ読みしてしまう人がいるんですが、

ホヘン アイ ワズ ジャスト ア リトルガール アイ アスク マイ マザー ホワット ウィル ビー  34音節

when I was just a li・ttle girl i ask my mo・ther what will i be
英語だと17音節にしかなりません


カタカナ読みして歌おうとすると34の音符が必要になるのですが、本当はその半分の音符で歌われているわけでして、
この歌、中学校の発音で歌おうとすると、どうしても無理がありぎこちなくなり、英語の人たちからは理解されることがありません。


逆の立場で言うと、
アメリカ人で、日本語知らない輩から「日本語でハローってなんていうの?」と聞かれますわね。
そうすると、「こ ん に ち は」とか教えてやるんですが、

英語で he llo って二音節にすぎんのです。
how are you でも三音節ですわ。
だからアメリカ人の方でも、どうせ、二音節かせいぜいで三音節の単語が来るんだろ?と予期していると、まさかの「こんにちは」で五音節。

「はええよぉ、もっとゆっくり言ってくれー」とか頼まれて
ゆっくりと「こ ん に ち は」とか言い直しても、
「はやい、速すぎる。日本語は聞き取れねえ」と言われるわけです。

日本語って発音簡単みたいに思っている人も多いでしょうけれど、母音を話す速度は相当に早くて、個々の音の発音は至極単純なんですが、それを高速でマシンガンのように話す言語です。

えー、こんな簡単な発音聞き取れんの?とか思うんですけど、
英語の人たちには、早すぎるように感じられるんですよ。

「こんにちは」が五音節で音節数が多いから、じゃあ、good mor・ningならもっと簡単なんじゃないかと、
それ教えてくれとか言われると、
「お は よ う ご ざ い ま す」と九音節。もう英語人、一聴して覚える気なし、覚えられる気なし。

そんで、私の日本語レクチャーサーヴィスはめでたく終了することになります。



英語にしたところで ロンドン下町訛りとか北部訛りとか、インド訛りにアメリカ南部訛りといろいろあるんですが、
重要なのは、訛ってはいても、それなりに通じて、所詮英語であるとみなされています。
good day todayをオージーどもが発音すると「今日は死ぬにはいい日だ」となるという笑い話がありますけど、
発音記号上に変則的な規則が現れる場合には、それはなまった発音とみなされやすい。

それと比べると、ホヘン アイ ワズ ア リトルガール アイ アスク マイ マザー ホワット ウィル ビー的なものは、訛った英語であるとさえみなされません。
なんでかというと、個々の発音がずれているだけでなく、音節の数が全然ずれているからです。

逆に言えば、発音記号に関してはあやふやでも、英単語の音節数さえきっちりと正確であれば、インド人やオージー共の英語のように、胸張って「俺は英語しゃべっている」と開き直っていいわけです。


そこで、マックスヴァリューの話に戻りますが、
♪ふっふっふっな生活 max va・lue(マックスバリュー)
ここで、いきなりカタカナ表記だと七音節のところを英語的に三音節で発音しています。

コテコテの日本語の歌詞の中に、いきなり英語の音節に準ずる発音が来るなんて想定していないですし、max valueの発音にしても、ガチガチの英語の発音ではなくて日本語的なゆるい発音ですから、
♪ふっふっふっな生活 まっばりゅう と私には聞こえて、一体何を言ってるんだ????

マックスヴァリューのところが???ですから、その前に続く♪ふっふっふっな?の箇所の意味も浮いてしまい、前後の文脈が崩れてきますから、分かんなくなってしまんですよね。



それがある日突然、♪ふっふっふっな生活 マックスバリューが聞き取れるようになったりするんですが、


これって、今の時代的なことなのかな、と。

ほら、グローバリズムが進展して、近所に外人が住んでいたり、コンビニで外人と隣り合わせたりって日々当たり前になってしまったじゃないですか。
そんで英語話す日本人が増えて、どうやったら日本人の英語が通じるかについて色々コツがつかめてきたんだと思います、
ここの発音は多少あやふやでも、音節数だけ揃えておけば、一応英語として通じる、もしくは通じる可能性が高い。
経験上、日本人、このこと学んじゃったんでしょう。


この歌も、かなりわかりにくい

ハード オフ ハード オフ と言っている箇所を、私、ながらく ハーローハロー だと思っていました。ずいぶん抜けたかしだと思っていたんですが、
厳密ガチガチな英語の発音をせずに音節数だけは英語にしっかり準じたものにする手法って、かなり一般化してきているんだなと。


パフュームの歌詞を聴き込んでいくまで、こういうことになかなか気がつけていなかったんですが、

まあ、こういうことですけれども、

カタカナ表記すると シークレット ですけれど、se・cretは2音節で
英語的だと、こうなるんです。

 シークレット の一音節seは、シー というよりかは スィー って感じです。



パフュームの場合は、(シー)(cret)って具合に、音節数を英語に順じさせ、発音記号的には日本語訛りをまぶした、

いわば、日本語訛りだけど一応通じる英語というものに仕立ててあります。

そして、これ、意図的にやらされている演出だと私には思われます。

英語なんだから英語人に通じないと意味ないんですけど、そんでも日本人が言っているってのを主張しないと、面白くないんですよ。

アイデンティティーの確認というのか、オリエンタリズムの利用というのか、それとも昨今の日本の国際化の中での新しい基準と申しますか、

中田ヤスタカは、かなり最初の頃から、世界進出狙っていたんだなと私は思ったりします。