無意識的コミュニケーション
ヒトがヒトとコミュニケーションをとろうとするとき、
普通は言語を介してメッセージを伝えるのが一番手っ取り早い。
意思が明確に伝わるし、デジタルデータ化するのが容易ですから、こんなPC上で情報をやり取りすることも可能になります。
しかし、ヒトのコミュニケーションには、言葉以外の方法がいくらでもあるわけでありまして、
レベル1 いわゆる不言実行
口先だけで、やるやる、いっているよりも、実際ぽーんとやってみせることは、言葉よりも雄弁だったりします。
相手の求めている事を的確に知覚し、それに対し、言葉を用いず、即実際的な行動で応えてみせることです。
飢え死に寸前なヒトに、おにぎり投げてやる以上の愛情の示し方ってあるもんなんでしょうか。
レベル2 メッセージの意味が一目瞭然
ウインクとか、威嚇のためににらみつけるとか、中指を立てて見せるとか、
優しく髪をなでてあげるとか、
言葉と同じくらい明晰で、意味の取り違えがない行為。
このレベルのメッセージを無視できる人は、図々しい人と思われているはず。
レベル3 言い逃れの余地があるメッセージ
いらいらして髪を掻き揚げる
貧乏ゆすり
好きな相手をじっと見つめる
はっきり口に出さないだけで、その意味はほぼ通じている、もしくは発し手が相手に伝わってもかまわない、という行為。
このレベルのメッセージに対しては、所謂空気を読んで、そのメッセージに何らかのリアクションをすべし、と世間では考えられている。
このレベルのメッセージを読み取れない人は、鈍感な人と考えられている。
−−−− 越えられない壁 −−−−
レベル4 発し手も受け手もほぼ無自覚なメッセージ
レベル1から3までと違って、レベル4ではメッセージを送る側も受け取る側も無自覚であることが多い。
ただ、無自覚でありはするものの、そのメッセージはしっかりと伝わっており、
相手に対して、
なんとなく相性がよかった、
とか、
なんとなく虫が好かない奴だった、
という場合は、大抵このレベル4でのコミュニケーションに原因が由来する。
ほとんどの場合、両者共々なんのメッセージも送りあっていない、コミュニケーションしていないと思い込んでいながらの、メッセージのやりとりです。
冷静に考えてみると、人間って実に奇妙な事やっているんですよね。
メッセージの送り手は、自分は本心を隠せており、何も表明していないと思い込んでいるだけに安心して、継続的に相手を不快にする可能性がある。
意外なほどに無自覚なメッセージの放出は、奔放なものでして、影響力強いんですよ。
レベル4でのコミュニケーションというのは、
たとえば、瞬き、視線の動き、左手の様子、体の姿勢、左頬の皺の寄り方、声の上ずり等のほとんど誰も気に求めない部分に現れる。
視線の動きというのは、目というのは何か見ているから動くわけでありまして、何も見ていないのに目が動くとなると、
それは心の中に浮かんだものを目で追っている、と考えられるわけです。
一人で考え事してるならともかく、人と対話している時に、あらぬ方向に目動かすってことは、相当強いイメージが頭に浮かんだか、それとも目の前の
現実に退屈しきっていると推測されるわけです。
しかし役者ってのは、瞬きしないもんですね。一分くらいなら平気で瞬きしないもんです。
瞬きをどのタイミングで入れるか自体が演技なんですから、意味もなく生理的現象としての瞬きなんか絶対しません。
それから、
人間の体ってのはいくつかの関節によって繋がっているわけで、
体の軸が関節を基点にぐらぐらしているものなのです。
だから、普通は、真っ直ぐ立ってりゃいいものを、目の前の相手への心理状況が影響して、この体の軸がゆがみます。
本来、相手の話をまじめに聞かなくてはいけないのに、気が進まないもんだから、顔だけ前に突き出て、体が後ろに引っ込むとか。
顔だけ正面向いてるけど、体が横を向いている場合は、逃げ出したくてしょうがないといったところです。
逆に、顔はそむけていても、体が相手にもたれかからんばかりにかたむいているなら、それは典型的なツンデレの姿勢と言えるでしょう。
普通の人間は、こういうことに無自覚であるのだが、
このような些細なメッセージを発する事に、いちいち自覚的であると、
おそらく、
演技、というものができるのだろう、と私は考える。
もしくは、パフュームの芸って、こういうコミュニケーションのあり方に近いなにかだと私は思います。
言われてみれば、当たり前の事ばかりなんですけれど、ヒトってコミュニケーションの能力が向上しすぎたばっかりに、こういうネコとかネズミでも分りそうなメッセージを無視して日常生活営んでいるんです。
そんで、なんかあいつのことむかついたとか、なんかあいつのこと気に入ったとか、言っているんですわ。アホらしい。
逆に、言語能力の低い幼児なんかだと、こういう「空気読む」みたいなことに妙に敏感だったりするものです。
そういう「空気」を無視して無自覚なので、それらのメッセージを受け手は入り口のところでシャットアウトする事ができないのですね。まるで空気でも吸うみたいに、内部まで取り入れてしまっています。
一回きりのサブリミナルメッセージは効果が薄いとしても、自覚のないまま何度もそれを内に蓄積していくと、ものすごく心理的に影響力を発揮するでしょう。
こういうレベル4のメッセージが、ウザイと思ったら、人間関係打ち切って隠遁するか、それとも、そういうメッセージにいちいち自覚的になって対処するしかありません。
ところで、
相手の心の動きをいちいち読み取れると何かいいことがあるのか?というと、
ギャンブルとかトランプで相手のブラフを見抜く時くらいですかね。
女にもてる、とかは、多分ない、と思います。
相手の心読むよりも、どかん!と何か現物を与える方がずっと効果上がります。
相手の浮気見抜くとき位じゃないですか、心見抜く能力が役に立つ時って。でも、騙されてたほうが幸せだったりしないですか?
相手の心理を読むってのは、相手に対しての自分の心理をどう自己理解するかのプロセスがありますんで、なんどもなんども反芻するプロセス、つまりくよくよ過去を振り返るプロセスが必要になるわけでして、
そういうことやっていると、後ろ向きな人間になってしまうもんです。
ほらさ、世間で、天才って呼ばれるような人って、豪快なエピソード多いでしょ。
こういう、対人関係の心理分析ばかりやっていると、なかなか先に進めないもんです。
無意識という言葉の定義は、精神分析的にはブレ幅があるんですが、
ある人にとっては無意識であっても、別の人はそれを意識的に受け止めてしまうという、微妙なズレって、日常生活営んでいるとよく出くわします。
そんで、怒ったり怒られたりしてるんですけどね。