お前の後ろに鬼がいる 『ふりかえるといるよ』
わたしは、人と人の間の心理のやりとりにうがった見方をする方で、
また、作品を人がどう解釈するかについてもうがった見方をする方ですが、
「ふりかえるといるよ」に関しては、
音質劣化させたMP3をFMラジオへのトランスミッターでカーステレオに飛ばしたのを聞いていた為、よく歌詞が分かりませんでした。
そんで、
断片的に聞き取った詞から
「ふりかえるといるよ」は、金縛りと幽霊のについての歌と自分の中では思っていたのですが、
改めてちゃんとした音質で聞き直し、ネットでの評判まで調べてみると、
どうやら
本当に、幽霊と金縛りについての歌らしいんですね。
レベル3の『ドリームランド』が『コンピューターシティ』のリメイク的歌詞だと私は思うのですが、
それを聞いたときには、
「なかた氏、相変わらず似たような歌詞ばかり書いてるな」と思ったんですが、
それと比べて、
『ふりかえるといるよ』は、いままでのPerfumeの流れからすると意外なようでもあり、
またPerfumeの進化の流れからすると、なるほど、こういう曲は来るべくしてきたな、とも思う次第です。
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この歌詞は、面白いですね。
なかた氏が今までPerfumeの為に書いてきた両義的な意味を持つ詞の、進化ヴァージョンのような気がします。
私個人の結論から先に行ってしまうと、
この詞は、『セラミックガール』の進化ヴァージョンではなかろうか、という事です。
(中途)
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人間の体って、タンパク質と水と電気信号でできてる機械だとしたら、心って何なのですか?
幽霊ですか?
じゃあ、幽霊っていると仮定したほうが正しいんですか、
って内容らしい、んですが、
『セラミックガール』の
「この気持ちだけは、作り物じゃないでしょ」の一行に通じるものがあるような気がします。
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『マトリックス』の監督は、出資者を説得する際に『ゴーストインザシェル』のビデオをみせて、「このアニメを実写化する」と説明したそうです。
Perfumeの詞を説明するのに便利なデストピアの概念に触れる際に 何度も何度も『マトリックス』のことを例に出してきましたけれど、
そういえば、いままで、このブログで『ゴーストインザシェル』の話一度も出したことがありませんでした。
あと、レゲエということで、
[rakuten:paperbackshop:13071661:detail]
を思い出すとこです。
『ふりかえるといるよ』(題名からして過去回帰てきなんですが)
Perfumeのスタイルが持つ未来志向って、これから実際に来る未来ではなく、
かつて夢見られたはずの万国博覧会的未来で、今となっては骨董品的な感じのするものです。
ドラえもんの歌をこの前歌いましたけれども、
何十年も前に未来を夢見た人たちを慰めるために過去に降りて行ったPVというのは、
今になって思うと、当然Perfumeが、やるべきしてやった仕事だったのだと思う次第です。
(中途)
イシカワ 「ゴリラ女が!」
草薙素子「誰がゴリラだって」
『Ghost in the machine』の実写化の際には、あ〜ちゃんが草薙素子
「もっと自分がしっかりしたら 夢の中でいじわるする君も消える
どこか心残りなままで夜な夜なきっと 夜な夜なきっと思い出してる」
わたし個人の話ですが、
おっさんになった今でも 寝がけのときに金縛りにあうことがあります。
金縛り、入眠時幻覚とでもいうようなものは、
頭が眠りにつく瞬間と体が眠りにつく瞬間が微妙にずれるので、
ぼんやりと目だけ覚めてるのに、体は寝たまんまで、そんで金で縛られたみたいに体が動かない、
そういう説明が、世の主流なんですが、
なにぶん、真夜中に暗闇の中で、ベッドの中で自分の体が動かないとなると、
感覚認知能力が崩壊して、いろんな妄想幻覚が一気に脳に訪れて、結構怖いです。
いい歳してても、金縛りの原理をわかっていても、
心の闇の部分が、一時に訪れるようなもんでして、
いまだに気味が悪い。
まあ、でもそれにしたところで、金縛りの時に見る、鬼とかアクマとか血まみれの光景というのは、しょせん自分の心の中に保持され続けていた恐れの光景でして、
ふりかえった時にいる鬼って、しょせん自分の心の影なわけです。
だから、
じぶんが、しっかりして、もっと明るい世界を見ることができるなら、たぶん、
鬼も、かわいらしい側面を見せ始めるような気がするのですよ。
鬼で画像検索すると、本当に勘弁してほしいホラーな鬼もいますが、
かわいらしい鬼も結構います。
結局のところ、鬼(幽霊)を怖いとみるか可愛いとみるかは、心のありようなんでしょう。
で、そういう前向きなポジティブ馬鹿な解釈で、この『ふりかえるといるよ』をまとめることができるかというと、
金縛りとか疑心暗鬼って、大多数の人にとって実感のあるはずのものでしょうから、
この曲のポジティブな部分よりも怖い部分が前面に来てしまうのでしょうが、
音だけ聞いていると、この曲の中の幽霊とか鬼は、優しげで引っ込み思案で殺意がなくあんまり実害がなさそうな感じがします。
(そういうやつが人殺さないとは限らないんですが)
深い井戸に長い釣瓶を落として、あくせくしながら水をくみ上げるようなプロセスを経たら、
『ふりかえるといるよ』からも、温かくて優しい意味がくみ上げられるようなきがする、次第です。
あと、『Glitter』を震災と原発事故に対する鎮魂歌と考える人だったら、
『ふりかえるといるよ』は、震災の犠牲者や放射能汚染のことを忘れてしまった部外者のことをうたったもの考えるかもしれません。
鬼と帰って音読みするとどちらも キ なんですが、
あの世から帰ってきた方々を鬼と呼ぶのが中国の語源意らしく、
鬼って怖いとか怖くないとかそういう意味でなくて、本当は生きていない人という意味らしいです。