振付師が「五感を刺激する振付」をモットーにしているそうなんですが、


「触れるもののすべてが」 触覚についての振り付け

五感の中では、視覚が圧倒的な情報源であり、それを処理するために多くの脳細胞が使われているんですが、
視覚に続くのが聴覚。

それ以外の味覚、触覚、嗅覚ってマイナーな感覚で、

それプラス、時間の感覚とか理論的推論とかヤマ勘を第六感と言ってもいいんじゃないか、という話もあります。

それはともかく、視覚って、あまりにも常に大量に情報処理してますんで、
視覚情報を脳みそで処理してるという実感がほとんどありません。

触覚でしたら、手を伸ばして触れなばならず、
味覚でしたら、舌を出してあじあわねばならず、ですが

瞼開けてたら、勝手に視覚情報飛び込んできますし、
気が付いたら、自分が興味あるかもしれないものに焦点合わせてます。

ほだから、Perfumeの振り付けで、やたらと視線を表現する振付が多いことに少々奇異な感じを持っておりました。

「見えるもののすべてが」


中田ヤスタカの詞には視覚聴覚以外のマイナー感覚への言及が多いですから、
それらに振付を充てると、どうしても視覚、視線も振り付けであらわさざるを得ないのでしょう。

「見えるもののすべてが、触れるもののすべてが、〜〜」
ここで触れるに振付を充ててしまうと、どうしても見えるのほうにも振付充てざるを得ないということになります。


おそらく、この辺から、Perfumeの振り付けには、神経症的なまでに視線を表す振付が多いのだろうと私は考えます。


新曲の望遠鏡ですが、
視覚と目線に関する詞が多いことに由来しているのでしょう。

望遠鏡って遠くを見るもんでして、
それを、未来の先を見る道具として解釈すると、

小さい女の子が未来を見る道具、自分の将来の夢を望遠鏡を使って覗いたという意味になるのでしょう。

さくら学院の小学生が、Perfume目指して頑張っている、なんかその事実を思い起こさせられます。

将来を見据えることって、大人に近づくということでもありますから、
少女が大人になる = 性的な成熟  ということで、

このPVが高級ヴァイブレーターに見えるのは私だけではないと思います。

そんなこんなもあってあんまり評価の出来ないPVであります。


また、なんちゃってチャイナのアングラ市場に行ったら、ブースの中に魅力的な女の人が三人。

一人はラーメン食ってた、
一人は不思議な漢方薬を調合してた
もう一人は、猫抱えて謎めいた感じ。

さて、市場で 彼女たちが取り扱っている商品は何でしょう?


それはいいとして、
五感を刺激するというPerfumeの振り付けのコンセプトが、実はここで反映されていて、
振付そのものには反映されていません。

のっち に 味覚
あ〜ちゃんに 嗅覚
かしゆかに 触覚
と五感のうちのマイナー分野が割り当てられています。

なんでこんなつまらないPVの企画が通ってしまったのかというと、それなりに企画とオスだけの理由があるのですね。



そして、あ〜ちゃん漢方薬屋だとすると、
のっちって何屋さんの設定なのだろう?と考えると、

たぶん、売春婦。
仕事で腹減るから、ラーメン食ってるって設定。

かしゆかは、なに商ってるのか分からないという設定。


しかし、それらの商いの姿は、世を忍ぶ仮の姿。
アングラ市場の奥まったところに行くと、秘密のステージで彼女たち三人は観音トリオとして歌い踊っていたのです。


これがおそらく、PVの基本ストーリーですね。


NHKBSの『ふれあい街歩き』みたいにステディカムで市場の各ブース巡っていくんですが、
わたし的には、高い金払って著名な美術監督に設計図書いてもらった様なありがたいものにも見えません。

まあ、そんなもの観光番組的に撮影されてもなぁ、と思うんですが、


このブース、本来は別に映す必要ないわけで、
こんなもん映すくらいならPerfume映せよ、と思うんですが、
ほんの数秒ですけど、こんなもん映しているということは
なんか重要なもんが映っているんだろうと思うわけです。

そんで一時停止してみると、観音像が二つ置いてあるわけで、

あっ、なるほど、PVでおどるPerfumeって観音なんだ、という事が分かるわけです。


金かけて作りました、手間もアイデアもふんだんにぶち込んであります、とはいえ
所詮4分足らずの作品ですから、映画と同じ手法使ったPVって
映画と比べりゃ、とるに足らないものでしかないわけで、


こんなん見てるくらいだったら、ベビメタのPVのほうがおもしろいわとなるわけです。

ベビメタの振り付けって、視線に関する神経症的なこだわりってなさそうです。
Perfumeと芸風変えるためかもしれませんし、
詞の段階で、五感についての言及がほとんどないということに過ぎないのかもしれません。


今になって思うと、Perfumeの作詞と振付っていいコンビだったんだなということがわかります。