ライブ・ヴュー 

2ちゃんねる読んでいたら、そういうところに書き込む人たちは、今日のライブ・ヴューに満足したらしい。
もう、Perfumeのファンの間には賛美両論の議論の余地がないのだろう。
嫌いになったら去っていくし、これでもいいならファンとして残るだけのこと。

そして、新規にファンになる人たちは、あまりいない。


自分には、Perfumeはやはり沈みゆく船のようにしか思えなかった。

部分部分では頑張っているし、新しめの曲もそんなに悪いわけでもない。
ただ、以前のように感動したりはしない。


まず、私がPerfumeの海外ツアーについて一番いやのは、この企画、嘘臭すぎるという点。

ライブヴューなんて観客の声援のボリュームをいくらでもいじって盛り上がりを演出することができるし、盛り上がっていない観客を敢えて映さないこともできる。

どうしても、私には一階フロアーの後ろ半分の客が盛り上がっているようには見えなかった。
手を頭上にあげている人、はずんでいる人、そういう人たちは前の方にだけ集中しているようにしか見えなかった。

大成功に終わった海外公演とか言ったところで、ライブビューに関しては香港以外の海外都市では行われていない。
去年のライブヴューがブラジルを含め多くの外国で行われていたことを考えると、Perfumeの海外進出は成功しておらず、体裁整えてるだけというのがよくわかる。
去年ライブに行ったフランスやドイツでさえもライブヴューは行われていない。つまり、Pefumeの海外公演はリピーターをうんでいない、そして海外の新規ファン開拓の宣伝効果もなかったということ。

この海外ツアー、準備、輸送費、スタッフ経費、そしてPerfumeを一か月程拘束している間の給料の問題から、この程度の客入りだと、当然赤字。それを国内のライブヴューで補てんする。
さらに言うと、現地で十分な客を集めることができないので、日本国内からファンクラブがツアー客を募る、
ぱっと見た感じ、三人に一人は日本からの客。
ビジネスとしてものすごく歪。
Perfumeの海外公演は大盛況」と言い含めることで、国内のファンから集金することで成り立っているだけ。
「NYを征したPerfume」という嘘でにじんだ看板を得たことで、おそらく海外ツアーはこれで打ち切り。

ビジネスとして歪なのはいいとして、肝心なのはステージの方ではないか?ということに関しては、

  • 昔のアイドル曲
  • ハイテク演目
  • レイブパーティ

の三本立て、それプラス漫談と学芸会。

かなり取り留めもない印象を受ける。もともとPerfumeの舞台はそういうお子様ランチ的な引き出しの多さがあるのだけれども、
それをまとめていたのが、漫談だったりPTAのコーナーだったりしたのだけれども、日本語が通じない環境だと、それぞれがバラバラでちぐはぐに流れが悪く感じる。

あ〜ちゃんの漫談にしたところで、こんな話、通訳介してまでやる必要あるだろうか?と毎度のことながら思う。

特に最初の三曲目が終わった後に延々と入るMCが私にとっては苛立たしかった。
こんな話で、ステージの流れをぶち切ってしまう鈍感さに、イライラした。

楽曲が大別すると三種類に分かれるとして、そのうち一番盛り上がるのは 昔のアイドル曲。
日本から来たファンが盛り上がっているというのもあるだろうし、現地の客にも受けがよかったのかもしれない。
ただし、逆の言い方をすれば、最近の曲では盛り上がれないという証でもある。
マジックオブラブ、どらえもん スウィートリフレインは演じられなかった。


ホールド・ユア・ハンドに代表されるハイテク演目だが、この手の演目は二年か三年もすればすぐに時代遅れになってしまう。
CGのリアルさを売りにした大ヒット映画が、三年後には見向きもされないことと似ている。

そして、この手のテクノロジーを前面に出せば出すほど、Perfumeってライブで見る必要ってどこにもなくて、高画質映像で記録し編集しネットにあげればそれでいいということになる。
もともと口パクで機械の音を流しているだけなのに、そのうえ視覚情報の大半まで機械プログラム化してしまうと、単なるものめずらしい見世物。
それ以上につらいのは、背景のCGを立てるために、主役の三人へのライティングが、ものすごく詰まらないものになる。
この手の演目のせいで、ステージ全体の統一感を演出するための照明のあり方が失敗している。



それから今現在Perfumeファンから離脱しようとしている人には特に評判の悪い西脇幼稚園のコーナー。客を三つに分け、食べ物の名前をあててコールさせるやり方。
一階フロアーの後ろ半分からはほぼ黙殺されていた。


PTAにしたところで、客が盛り上がって一緒に動いているわけではなく、やらされているだけということに今更ながらに気が付く。
以前、このブログでPTAのコーナーをライブエイドのクィーンに比したことがあったが、
本質的に全然違うことに今更ながらに気が付いた。
盛り上がったうえで、みんなで同じ動きをしているわけではなく、やらされてやっているだけなのだということ。


それでも、PTAのコーナーからパーティーメーカーにうつった流れは、素直にあ〜ちゃんの選曲を評価したい。
そして、本当は、海外でPerfumeが日本のサブカルアイドル好きの外人以上にファンを獲得するのだったら、このジャンルが主戦場になるはずだったのかもしれない。

去年の東京ドームと比べると、ハイテク要素を排して、シンプルな演出。
真ん中にのっちを配置して、ただひたすら躍らせるだけ。
そして、決まりごとの振り付けを踊る時以上に、のっちが映画館のスクリーンに映えた。

Perfumeのやり方って、もう限界なんではないか?決められた振付を踊るだけ、観客の反応を考慮しないあらかじめ録音された音源、
こういうライブのあり方は、お約束が出来上がっている環境ではあらも目立たないとしても、海外の別の環境にもっていくと、客の反応無視した一方的なパフォーマンスにすぎないのではないか。

だから、パーティーメーカーみたいな要素をもっと大胆に取り入れて、それを洗練させる必要があったのかもしれない。
今日のライブヴューで一番印象深かった箇所。一番よかった場面であり、にもかかわらず一番限界を感じた場面。
Perfumeの二年半の海外挑戦って、これ以上はできなかった。


グリッターに関していうと、レーザー光線の演出、あの振付、聞いている人のBPMを強制的に操作するかのような楽曲、
「なんかベビメタみたいだよね」と本末転倒したことを思ってしまう。本当はこっちが先であっちがあとなのに。




いつも通り、最後の曲は、マイ・カラー。
私は今まで一度もこの曲を面白いと思ったことがない。
自分の斜め前の客が席から立ってぎこちない様子で振付をなぞっているのを見ながら、
「これは、盛り上がってやってるわけではない。ただの同調圧力』そんな風に思っていた。

多分もう自分はPerfumeのファンとは言えないのだろう。ファンじゃなくて元ファンというべきなのだろう。

そして、Perfumeの海外展開の嘘くささを思うにつけ、すべてがインチキ臭く偽物のように思え手仕方がない。