他人の空似?  The Who→

ロンドンオリンピックの開幕式のトリを務めたのがポールマッカートニーで、閉会式のトリを務めたのがThe Whoでした。

 

日本では、ほとんど知名度のないThe Whoで、そのせいで、

彼らが何者で何言って何考えてたかについて日本語で紹介されることはあんまりなかったです。

だから、私、二十年前からThe Who聞いてきたんですが、

彼らが何者だったかがあんまりわかっていませんでした。

 

最近になって初めてネットで英語の記事をあさり、The Whoってそういう人たちだったんだ!となんとなくわかってきたのですが、

 

Perfumeファンにとっては、『エレクトロ・ワールド』のギターの音の元ネタがThe Whoってとこでしょうか?

 

 

 

1965年にデビュー。

1969年にロックオペラという、完全物語形式のアルバムを発表し、それをライブで再現することで、世界的に大成功。

 

なお、ライブバンドとしても、世界一の音量のバンドとして名声を博す。

 

また、ドラマーのキース・ムーンの超絶変態奇行ぶりでも有名。

 

 

そんなThe Whoって、知的に小難しいことを時折言ってるみたいなんですが、一見するとちんどん屋のバカバンドなので、

かれらが何者かよくイメージが統合できないのですが、

 

そんなよく分からない彼らが、世界的名声を得た後にトライした企画が、

『The lifehouse

デストピアを舞台にし、音楽と映画とライブを一緒くたにして、さらには観客ファンを取り込んで彼ら自身を『Life House』の作品の一部にしてしまおうという、

 

野心的というか、よく分からない企画でした。というか、リーダーのピート・タウンジェンドに誰もついてこれなくてとん挫したそうです。

 

この後11年間The Whoは活動を続けますが、その間に発表された新曲の多くは、このとん挫した『The lifehouse』のために用意した曲の使いまわしだったそうです。

 

 

その代表曲がこれ。

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ロックオペラを作るつもりが果たせず、しょうがないからと用意していた曲を通常のハードロックのフォーマットに従って発表するのですが、

 

リーダーが心の師匠とあがめるインド人の個人情報、身長とか体重とか誕生日とかの数値からシンセサイザーのオケが作られているそうです。

 

『The lifehouse』の企画で、観客の作品参加を促し、誰もが作品の中に自分を見つけることができるようにする、という無茶なことを考えたそうなんですが、

おそらく、こういう形で実現されることになっていたのでしょう。

 

 

ちなみにこの『Who's next』のジャケットのデザイン、『2001年宇宙の旅』のモノリスに由来するアイデアだそうです。

映画では、神に比喩的姿である黒い石に猿人が触れることで原人へと進化を遂げるのですが、

今の人間が突如そんな神に出会ったとして、何するかというと、

まあ、しょんべんでもひっかけてやろうか、と。

なんか、その気持ちよくわかります。

 

 

 

『The lifehouse』は

デストピアを舞台にしたSF設定のロックオペラですが、その世界観を反映した曲の一つである 『905』の歌詞を見ると、

www.youtube.com

 

お母さんは生育器 お父さんはアイスボックスの中の試験管

ぼくの生まれは人間工場

名前は905

 

Mother was an incubator
Father was the contents
of a test tube in the ice box
In the factory of birth

My name is 905,
And I've just become alive
I'm the newest populator
Of the planet we call Earth

 

まんま、オルダス・ハクスレーの『Brave New World』の設定を拝借してます。

ということは、『セラミック・ガール』の腹違いの兄弟みたいな曲というか、

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The Whoの『The lifehouse』の企画がPerfumeの近未来設定と非常に共通点のあるものだということに気づかされます。

 

andorei.hatenablog.com

ちなみに、この文章書いてたのがちょうどロンドンオリンピックの開幕式の直前。書き終えてテレビ見てたらケネス・ブラナーシェイクスピアの朗読初めて、びっくりした。

 

 

 

 

 

In suspended animation
My childhood passed me by
If I speak without emotion
Then you know the reason why

Knowledge of the universe
Was fed into my mind
As my adolescent body
Left its puberty behind

And everything I know is what I need to know
And everything I do's been done before
Every sentence in my head
Someone else has said
At each end of my life is an open door

 

一時停止のアニメーションの中で子供時代を過ごしたから、僕の言葉には心がない。

ぼくの知っていることは、僕が必要な事だけ。

ぼくが話すことは、誰かが話した言葉だけ。

 

Automatically defrosted
When manhood came on time
I became a man
I left the "ice school" behind

Now I'm to begin
The life that I'm assigned
A life that's been used before
A thousand times

I have a feeling deep inside
That somethin' is missing
It's a feeling in my soul
And I can't help wishing

That one day I'll discover
That we're living a lie
And I'll tell the whole world
The reason why

 

ぼくは、もう何度も使いまわされた誰かの人生を生きるだけ

この世界は嘘でできてるて見つけられたら、

それがどうしてかを世界に告げたいんだ。

 

 

 

 

まあ、そりゃ、元ネタが同じですから、Perfumeの近未来シリーズの世界観とは非常によく似ています。

 

The WhoにしろPerfumeにしろ、デストピアをネタにしているのですが、

デストピアだからもう生きていくの嫌です、で話を終わりにしなくて、

一応デストピアからどうやって抜け出すか、抜け出した後何が待ってるのか、まで語るのですが、

その辺も、両者必然的に似てしまうのですよね。

先ほど挙げた『ババオライリー』って曲の歌詞、『ドリーム・ファイター』と通じる世界だったりします。