20世紀の産んだ一番有名な楽器

わたくし、よく、奇をてらったようなことを言うんですが、
そして、それゆえに、ある種のアホからは黙殺されるのですが、

「大概、言っていることは外していない」と自分では思っております。


ここで質問
「20世紀の生んだ一番有名な楽器とは何でしょう?答えはあくまで私の独断です」

シンセサイザーエレキギター?マイク?

いやいや、いやいや。


答えは、車です。



RCAという、25年前に倒産したアメリカの会社がありまして、以前ビクターの親会社だったこともあります。RKOという名で映画制作もおこなっており、「市民ケーン」とか「キングコング」を見るとRKOのタイトルが出てきます。
また、アメリカの小説を読んでいるとロックフェラーセンターに自社ビルを所有していたことを知ることもできますし、
わたし的には、エルビスとかデヴィッド・ボウイのレコード会社で1800円という、80年代では格安のLPレコードを販売していた会社でもありました。

会社は潰れ、GEに吸収されましたが、RCAプラグというのは、今も世に残っています。


この会社がでかくなったキッカケというのは、1920年代のアメリカの好況期に、車用のラジオを製造していたことです。
車に乗ってラジオ番組や音楽を聴くことは当たり前になってしまいましたが、誰かがはじめるまでは、カーステレオもカーラジオもなかったんですよ。
ラジオの商業放送が始まるのが1920年代ですが、程なくして、車にラジオを乗っけるようになります。

これによって夜の退屈な運転が慰められることになるのですが、
車というのは、エンジン音がうるさいんですよ。それ故に車で聴く音楽というのはエンジン音と競合する音域を強く出さなくてはいけません。

車で聞いて心地よい音楽、エンジン音と競合する音域を強く出す音楽、
つまりジャズとロックの発展というのは、車の存在なくては語ることができません。




東京に住んでいるとわかんないですけど、車がないと生きていけない田舎に住んでみると、このことはよく分かります。
カーステレオって、エンジン音と競合する音域をはっきり聞こえるようにいじってありますし、ロックって本来車向けにできてる音楽なんです。
ドビッシーとかモーツアルトを車で聴いても、なんも楽しくないですよ。



二拍子が人が歩くリズムの模倣、三拍子が馬の歩くリズムの模倣、四拍子がスキップの模倣というようなことがwikipediaに書かれていて、私は、それに大賛成なんですが、
じゃあ、八や十六は何なんだ?と言いますと、
車ですわね、車、
ありゃ、理論的には、車以前に成立するリズムですが、普及したのは車があったからです。


人間ってそんなに自由な生き物ではないんですよ。人間の思考、表現というのは物理的な条件に大枠を限定されているもんです。
逆に言えば、物理的条件が変われば、ものすごく自由になれるのが人間という生き物であるとも言えます。
そして、それは、20世紀の人類の歴史ではないでしょうか?



金持ち国家アメリカでは、18歳が車を持っていることを前提とした音楽(ビーチボーイズとかのことですが)を作っていたのに対し、貧乏先進国のイギリスは青少年が車を持っていないという事実、車がないにも関わらず車用の音楽を聴いたり歌ったりしているという変な事実についての歪な歌、それが、この、ドライブマイカーの趣旨。