「言ってることとやってることが違うけどどちらも本当なんだよ」

これ、『あまちゃん』の中の台詞なんですが、

単に一回の中での台詞というよりかは、全篇通しての演出方針のようです。


最終週にこんなやり取りがあって、

琥珀古田新太に見せる松田龍平

「この虫がユイちゃんで、その周りを固めている樹脂が地元意識だとすると、ここにいる限りユイちゃんは永遠にアイドルでいられる…」
「ごめん、今の話全然分かんない」
「ですよね、言ってて俺もなんか違うなと思いました」


このやりとりのBGM、ものすごくしんみりしたものでして、

「ごめん、今の話全然分かんない」
「ですよね、言ってて俺もなんか違うなと思いました」
の箇所で、BGM中断させるとか、ズッコケ調に転換するとかそういうの一切せずに、
このシーン終わるまで、しんみりしたBGMで通します。

いったいこの演出では、おちゃらけた台詞のほうが正しいのか、それともしんみりしたBGMのほうが正しいのかということですが、
「言ってることとBGMの曲調が違うけどどちらも本当なんだよ」ってことなんでしょう。

矛盾を平然と受け入れて、そこに味わいを感じる、それ出来ない人には『あまちゃん』って分かんないでしょうし、


Perfumeの歌詞と振付の意味がずれているってこと、このブログで再三再四書いてますが、
それも、『あまちゃん』の演出と同じだったりします。

まあ、分かる奴だけわかりゃいいんですけど。

でも、PerfumeのPV見たことある人の数より、『あまちゃん』見てる人のほうが数多いんですけどね。




あまちゃん』のBGMって特徴的で、
300曲用意したそうです。番組開始時までに用意できたのはほんの一部で、残りは、撮影にあわせて作曲していったそうですが、
そうなると、『あまちゃん』用に取り繕った音楽を作っている暇がなくて、
大友良英のいつもの地が出たものが増えていったそうです。

撮影期間が長いので、作りこんだ役を演じるだけでは間に合わず、最終的には役者個人の地の部分が見え隠れする、
そして、役者が本当に魅力的なのは、ドラマというフィクションの中で地をみせることにあるのだな、と感じ入った『あまちゃん』でした。