ショービジネスとPerfume
アミューズって、東証一部上場企業でして、
従業員約200人、株式総額約300億円で、
そりゃトヨタ自動車とかと比べれば小さな会社なんですが、
調べると、
芸能事務所って、工場の設備投資や在庫大量に抱え込むことがないですから、利益率とか高いんですね。
アミューズのビジネスって
サザン、福山、Perfumeで40%で言われていますから、
われらがPerfumeがアミューズの10%であるとするなら、
Perfumeだけで、東証二部上場の中では小さめの企業規模のビジネスが成り立っているということになります。
アート・芸能としてPerfumeを管理している担当者はいなくとも、ビジネスの部分を管理している人は必ずいるわけでして、
あ〜ちゃんが思う「Perfumeはこうあるべき」というイメージやファンが「Perfumeはこうあってほしい」というイメージに対して
財務管理しているの人の、Perfumeはこうしてくれないと企業が困る、という青写真
その二つの齟齬があるのは、
仕方がなかったかもしれません。
実のところ
私が気に入らないのは、ビジネスとして後手後手に回りすぎたんじゃないか?もっちょっとビジネス担当は成功に対して貪欲に取り組むべきではなかったのか、という点です。
私が、この二年半のPerfumeの海外挑戦を振り返ってみると、
もともと、海外進出に対して、中田氏もPerfumeもアミューズもみんな乗り気だったように思われました。
3年前のアルバムタイトルが『JPN』で、
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これ名づけた中田氏も相当乗り気だったんじゃないか、と。
時期を同じくして、ぱみゅぱみゅも海外進出してましたから、中田氏も海外での成功に野望持っていたんでしょう、きっと。
んでも、この三か月後にPerfumeはユニヴァーサルレコードに移籍して、その一か月後に『スプリングオブライフ』をリリース。
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『スプリングオブライフ』って、いい曲だし、PVでも「近未来テクノユニット」という本来のPerfumeのコンセプト説明しなおして、海外でこれからPerfumeのファンになる人もにも分りやすいもので、
クリエーター達のやる気が感じられるのですが、
本当は、この曲出した後に、何らかの形で海外へ宣伝活動しに行くべきだったと思うんですが、
なぜか、この時、日本でツアーやってる最中だったり。
(この動画見てると、この時がPerfumeの頂点なのだろうか、という感じがします)
『スプリングオブライフ』と『JPN』の海外の反響がなかったので、
次のシングルの『スペンディングオールマイタイム』では、歌詞を英語にします。
「日本でのありようを変えてまで海外での成功を望まない」のがPerfumeの海外進出の基本方針だったと私は思うのですが、それゆえでしょうか、
この英詞に対して、Perfumeの三人は中田氏に日本語の詞も混ぜてくれと突っ返したそうです。
海外に媚びないという基本方針を曲げてまで『スペンディングオールマイタイム』作ってもらったんですから、もっとこの曲を利用すべきだったんではないでしょうか?
二年以上たって、今頃になって、やっと外人DJによるリミックスヴァージョン発表なんですけど、とっくにやっておくべきことのように私には思われますし、
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とにかくやることが後手に回っているという印象。
この後、やっと初の海外公演ですけれども、
なぜか行き先が韓国と中華先進地域のみ。
「なんじゃ、こりゃ。アミューズの海外での事業開拓と歩調あわせてるのか?」という疑念。
アミューズ海外事業所のある都市を訪問するだけのツアーでした。
Perfumeの海外での実績って、
「海外にも認められたPerfume」って文句がほしいだけの国内向け宣伝事業っていう人がいますが、
これだけ海外展開がグダグダすると、むしろ「海外進出に失敗した」というイメージの逆効果が大きかったような気もします。
シンガポールのステージの終わりに、
「春にはドラえもんの新曲が出ます」って告知。
それ聞いたとき、私は、かなり微妙な感じがしました。
ドラえもんは海外でも人気あるけど、それって東アジア限定の人気で、その主題歌の宣伝効果って、欧米に対してはほぼゼロ。
シンガポールとか台湾のファン開拓は進むかもしれないけれど、
「もうちょっと海外進出の本来の目的地の欧米を見据えたようなことやったらどうなの?」と私は思いました。
ちょっと話は跳びますが、『クリンクリン』が嫌だ、というファンの人たちのかなりの割合は、あの詞が気に入らないという理由のようですが、
だって、きゃりーぱみゅぱみゅの曲に 幼児言葉を二度重ねたようなものがたくさんありまして、
それ思い起こさせるんですよね。
「あ、中田ヤスタカ、ぱみゅぱみゅ向けの曲をPerfumeに回したな」と勘ぐられて、かなりマイナス印象。
そして、今振り返ると、『未来のミュージアム』もかなりそうでした。
「ミュージアム、ミュージアム」「りんりん」「ファンタジー、ファンタジー」
もう、ぱみゅぱみゅとPerfumeの書き分け出来てないのかよって感じです。
ドラえもん調のPVも、ドラえもん効果の期待できない欧米では宣伝効果薄いです。
それから翌夏にPerfumeのヨーロッパ公演。やっとです、やっと。
そして、その為の新曲として『マジックオブラブ』
「Perfumeの魅力は、あの独特のダンス。ダンスだったら言葉通じない海外でもすんなり受け入れられるのではないか?」
そんな風に思っている人、今もいると思いますし、私も以前はそう思っていました。
多分、違うんですよ。
あのダンスって、詞の一部。
いやもしかすると、詞がダンスの一部と言っていいかもしれません。
それくらいに、あのダンスって詞と不可分なもので、日本語わからないとダンスの意味も通じない場合が多い。
それだからでしょうか、『マジックオブラブ』って、詞と振付を分離した状態で、どれだけ魅力が出せるか?について試してみた作品のように私には見えます。
まあ、私から見ると、いちおう合格点で、
「これ、海外で受けないんだったら、まあ、しょうがないよね」
というか、
これだけやってもブレイクしないんだったら、まあしょうがない、という感じがしました。
今になって思うんですが、この曲、この振付、このPVのアイデア、
こねくりくまわしすぎではなかろうか、
出来がいいのはわかるけど、感動はしないでしょ?
ベビメタの海外で受けた『ギミチョコ』と比べると、もっとシンプルな直球ねらいでいくべきだったんだろう、と私は今は思います。
そして、
ほんと、よくわかんないのは、
ツアーって、アルバム出した後に、それら新曲のお披露目とアルバムの宣伝兼ねて行うはずのものと私は思ってるのですが、
Perfumeの場合、海外公演がアルバムの発表と連動していない。
国内ツアーはアルバム発表の直後にやるんですから、その一環としてついでに海外公演もやるべきなんじゃなかろうか、と思うんですが、なんかそうでもない。
これじゃ、海外でアルバム売りようがないだろ、と思ったり。
中田氏が「歌詞カード見ながら曲聞くのやめてくれません?それだと一番大切なこと聞き逃すよ」みたいなことインタビューで言ってらしたんですが、このロンドン公演では、『ドリームファイター』に電光掲示板で翻訳字幕が付きます。
「あ〜あ、やっちゃったか」と私は思うと同時に、
ドリームファイター以外の曲については、詞の意味どうでもいいわけ?とも思ったり、
この頃には、Perfumeの欧米での成功って、劇的なものにはならないな、とわたし的には覚悟ができました。
じゃあ、そしたら、ひたすら国内特化したガラパゴス的な方法で進化を目指す様になるのか?というと、
そうもならん訳で、
一部上場企業のアミューズにとって、芸能事務所を日本以外にも設立し企業規模を拡大するというのは、すでに既定路線で、台湾では現地芸能人のマネージメントをすでに行っており、
Perfumeの海外進出は、そういう海外での事業拡大方針の一環として、変更ができなかったのだろうとわたしは思っています。
逆に事務所の海外展開のタイミングとどんぴしゃのベビメタは、上手く行った!という感じですかね。
『Level 3』のツアーも、大阪と東京のドームで2回ずつ、それから数か月後に対バンで地方都市巡り、それから単独のアリーナでの主要都市ツアー、それからロンドンとニューヨークとロスの海外公演と、もう、何やってるのか、よく分からん。
んで、『クリンクリン』見た時の絶望感。
まだ、こんな中途半端なやり方で海外進出やるんですか?
というか、中途半端以上に、アイデアで尽くして、しまいにはフジヤマ芸者ですか?
これ、Perfumeの三人に対する批判ではなく、事務所の人たちに対する批判です、ハイ。
あ〜ちゃんの代々木での発言、「日本のファンが嫌だというなら、海外には行かない」って、こういうグダグダな周囲の状況に対する泣き言なのかもしれん、と思う今日この頃。
Perfumeって、
そんなに先行きの長いユニットではなくて、
かしゆかがミニスカートはけなくなったら、それで解散するしかないわけです。
もしくは、
三人のうち誰か一人でも妊娠したら、それで活動休止が一年以上。実質それで解散でしょう。
(むしろ、いい感じに円満な結婚・コトブキ解散を望むのが正しいファンの在り方じゃないですか?)
そう考えると、あと、長く見積もって、五年でしょうか。
そういうこと考えると、二年半のグダグダは大きな損失だったな、と思う今日この頃です。